2019年03月08日

天智天皇の百人一首の歌の再考(後半)

なぜ天智天皇は泣いているのか?
もちろん夜露で袖が濡れて衣の着心地が悪いから泣いている訳ではありません(笑)。
仮小屋の屋根ぶき(とま)が荒い、つまりすごい粗末で仮に作った小屋を見て泣いているのです。
当時は秋に臨時の仮小屋を作って、稲を見張ったり守ったりしたようです。

仮小屋があまりにも粗末なので天智天皇は泣いていたのですが、「秋の田の仮小屋が粗末」では不十分なのです。
「秋の田の仮庵(かりほ)の」→「秋の田の仮小屋の」になりますが、不十分なのです。
IMG_6742.jpg
ここで源氏物語を読んでいて気付いた2点目が大切になります。
時折漢字で書かずにひらがなで短歌を書く場合があるのですが、その場合には2重の意味があることが多いのです。
とすると、百人一首の札を見てほしいのですが「仮庵」と書かずに「かりほ」と書いているのは2重の意味があります。
ズバリ「仮庵(かりほ)」と「刈穂(かりほ)」です。

この歌は「秋の田の刈穂」と「仮庵の庵の苫があら(み)い」との対比なので、現代語訳すると「秋の田の収穫したの稲穂の豊作の豊かさ」と「それを守る小屋の粗末さ」との対比になり、天智天皇が「国のために頑張って働いている農民が粗末な小屋で過ごしていることを物悲しく思いやった歌」なのです。

私の訳は意訳ですが
「しっかり働いて豊作の刈った稲が積み上がっているのに、それを見守る小屋が粗末で、農民のみんなは大変でよく頑張ってくれており涙が込み上げるなぁ」

収穫の秋と天智天皇の農民を思いやる祈りの歌と考えると、雰囲気としてはミレーの晩鐘の絵ような歌かもしれませんね!
1.jpg
<ウィキペディアより>

posted by MCL at 08:00| Comment(0) | 院長日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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